いりこの世界
煮干いりこ漁って!?
普段生活していて『煮干いりこ』がどのように獲れるかなどについてはあまり知られていません。
しかしながら、私達のお届けする自慢の『煮干いりこ』に込められた生産者の想い・愛情を少しでも多くのお客様に伝えたいと思い、実際の煮干いりこ漁について行って写真を撮ってきました。
いよいよ出発です。はじめての体験に加え、漁への期待感でドキドキします。
長く漁を続けている志水さんも、漁のポイントに向かうこの瞬間は期待や緊張をするようです。
狙った場所に到着後、目印を落としてそれをグルッと囲むように網を入れます。
網を入れ終わった後、はじめはモーターで網を巻き取って近くに寄せます。網を寄せた後は、船の横から手でさらに手繰り寄せます。『煮干いりこ』の収穫はあったでしょうか?
網が近くまで来ました。「大漁です!!」
たも網一杯の『煮干いりこ』はさすがに持ち上げられないので、ワイヤーで船の上に引っ張りあげます。
魚が獲れたからといって油断はできません。美味しくて、新鮮な『煮干いりこ』をつくるのはここからが大事です。すくった魚は空気に長く触れるとどんどん鮮度が落ちるので、海水と一杯の氷が入ったタンクにすぐ入れます。
採れたての『煮干いりこ』です。ツヤツヤ・ピカピカでこのまま食べても美味しそうです。この鮮度を保つために急いで加工場に引き返します。
加工場に到着です。『煮干いりこ』を船に引き上げて加工場に運ぶまでの時間はわずか10分ほど。そしてそのまますぐに加工されます。この水揚げからの電光石火の早業を目の当たりにして、ここでつくられる『煮干いりこ』の新鮮さ・美味しさの秘密がわかった気がしました。
加工場で『煮干いりこ』は茹でられます。熱を加えて乾燥に向けての準備です。もちろん無添加ですので他には何も加工ということはされません。ですから、加工場で乾燥に入るまでの時間もわずか10分ほど。このままじっくりと自然乾燥して新鮮で美味しい『煮干いりこ』の完成です!
1回の漁が終わるごとに網を海水できれいに洗って、次の漁に向けて折りたたんでセットします。この作業の方が水揚げから加工より時間がかかるくらいですが、お客様の口に『煮干いりこ』を傷つけずに美しく・衛生的にも新鮮な状態でお届けするにはとっても大事なことです。志水さんのお客様へお届けする『煮干いりこ』や漁に使用する道具への愛情がよく表れていると思いました。
この日は大漁。準備が整うと休むことなく早速次の漁へと出発していきました。
いってらっしゃ~い♪ でも、お気をつけて。
志水さん、新鮮で美味しい『煮干いりこ』を待っていまーす!
いりこの原料カタクチイワシってどんな魚?
煮干いりこの原料となるカタクチイワシの紹介ページ
○カタクチイワシ(片口鰯):Engraulis japonica
【特徴】
・全長(成魚)
10-20cmほど
・体色
背中側が青灰色で、腹側が銀白色をしています。鱗は円形をした「円鱗」(えんりん)ですが剥がれやすく、漁獲された際に鱗が脱落してしまうこともしばしば。断面は背中側がやや膨らんだ卵形をしています。
・名前と分類
マイワシ、ウルメイワシと同じくイワシの一種ですが、カタクチイワシは目が頭部の前方に寄っていて、口が頭部の下面にあり、目の後ろまで大きく開くことが特徴です。和名も「口が頭の片側に寄っている」ことに由来します。また、他の2種よりも体が前後に細長く、分類上でもマイワシとウルメイワシはニシン科(Clupeidae)だが、カタクチイワシはカタクチイワシ科(Engraulidae)です。
・分類
北海道から南シナ海までの西太平洋沿岸に分布します。内湾から沖合いまで、沿岸域の海面近くに大きな群れをつくります。プランクトン食性で、泳ぎながら口を大きく開けて植物プランクトンや動物プランクトンを海水ごと吸い込み、鰓の鰓耙(さいは)でプランクトンを濾過摂食します。
・天敵
敵はカモメやカツオドリなどの海鳥、サメやカツオなどの肉食魚、クジラやイルカなどの海生哺乳類、イカ、人間など非常に多岐にわたり、人類の利用のみならず食物連鎖の上でも重要な生物です。カタクチイワシは天敵から身を守るために密集隊形を作り、群れの構成員全てが同調して同じ向きに泳いで敵の攻撃をかわします。これは他の小魚にも共通する防衛策である。対する敵はイワシの群れに突進を繰り返して群れを散らし、はぐれた個体を襲う戦法を取ります。
・産卵期
産卵期はほぼ1年中だが、春と秋に多くが産卵します。卵は楕円形の分離浮性卵で、1粒ずつがバラバラに水中を漂いながら発生します。孵化した稚魚は急速に成長し、1年経たずに繁殖ができるようになります。
・寿命
2年-3年ほどです。
【食べ方(利用方法)】
カタクチイワシは日本で最も漁獲量の多い魚で、日本各地で巻き網や地引き網などで漁獲されます。また、「シラス」は主にカタクチイワシの仔魚で、これも食用に多く漁獲されています。
鮮度の良いものは刺身など生で食べることもできますが、傷みが早く入手が限られます。最も多い利用法は煮干し等の干物ですが、良い干物の決め手もやはり鮮度で、加工作業は時間との戦いとなります。カタクチイワシが水揚げされると港や加工場はにわかに忙しくなります。
おもな利用法には以下のようなものがあります。
■煮干し(にぼし)/いりこ
- 茹でて乾燥させたもの。主に出汁をとるために利用される。
■畳鰯(たたみいわし) - 稚魚を板海苔状にまとめ干物にしたもの。
■白子干し(しらすぼし) - 稚魚を塩茹でし干したもの。カルシウムを含む食品の代名詞でもある。
■目刺し(めざし) - 立て塩をした後、数匹ずつ竹串に刺して乾燥させた干物。
■田作り(たづくり) - 小型の煮干を煎り、砂糖と醤油で煮絡めたもの。御節料理の祝い肴として知られる。
■アンチョビ - 三枚に下ろして塩漬けした後、植物油に漬け込んだもの。
■ごま漬け - 千葉県九十九里地方の郷土料理。
食用以外にもカツオなど肉食魚の釣り餌、肥料などに用いられる。
いりこの豆知識
『煮干いりこ』について少々説明させてください。
『煮干いりこ』は文字通り、小魚を煮て干したもので、カタクチイワシで作ったものが最も一般的です。
私達が生活している九州では、『煮干いりこ』とは呼ばずに『いりこ』と呼んでいます。関西では『じゃこ』や『だしじゃこ』、関東では『煮干』など日本中でいろいろな呼び名があるようです。
カタクチイワシの漁獲高日本一は長崎県です。私達が販売させていただいている『長崎県松浦市福島産の煮干いりこ』は、その長崎県内で、かなり高額で取引されています。トップクラスです。
この事実が、私達が自信を持って、お客様にこの『煮干いりこ』をおすすめするできる理由です。
あと、乾燥工程についてですが、私達の『煮干いりこ』は乾燥機を使い乾燥させています。現在ではそれが主流です。
お客様は天日で干して乾燥したほうがおいしいそう!と思われていませんか?お日様の味がしそうですものね!でも実際は違います。
『煮干いりこ』のうまみ成分は、イノシン酸です。このイノシン酸は、紫外線によって飛ばされてしまいます。お日様(紫外線)を浴びて、そのうまみ成分が飛んでしまった『煮干いりこ』がおいしい訳がありません。
さらに、天日干しされた『煮干いりこ』は、酸化が早い上に、衛生面でも問題があります。
『煮干いりこ』の酸化は、残念ながら防ぐ事が出来ません。そのために、酸化防止剤として、BHAや抽出ビタミンEを添加している業者があるようです。
しかし安心してください。私達の『煮干いりこ屋』は、そのような酸化防止剤は一切使用していません。無添加です。これからも絶対に使いません。
お客様も安心して私達の『煮干いりこ』をお使いください。本当においしいですよ。